経済・金融ニュースは毎日あふれていますが、「結局どの情報が重要で、なにが相場が動かしているのか」を短時間で把握するのはなかなか大変です。
このブログでは、ブルームバーグやロイターなど信頼できる海外メディアを情報源に、日米を中心に要人発言や経済指標といった重要な経済ニュースをピックアップし、情報を読みやすく再構成してお届けしています。単なるニュースの要約にとどまらず、投資やトレードに活かせるポイントを意識しています。
例えばこんな方におすすめです:
・忙しくてニュースをじっくり読む時間がない方
・トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れたい方
・経済ニュースの見方を効率よく学びたい方
記事を読むことで、情報収集の手間を減らしつつ、投資判断や知識の整理に役立てることができますので、ぜひ日々の情報収集にご活用ください。
今回は、2025年9月2日の経済情報(株式・債券・為替・金)をわかりやすくポイント解説します。
米株式市場
株価の動き
主要株価指数の下落
- ダウ平均:45,544.88(-0.55%)
- ナスダック:21,455.55(-0.82%)
- S&P500:6,460.26(-0.69%)
👉 この日は半導体大手エヌビディアをはじめとするハイテク株が売られ、S&P500は0.7%下落しました。特にエヌビディアは4日連続で下落し、50日移動平均線(171.02ドル)を割り込みました。
懸念材料
株価の割高感(PER)
- S&P500の予想株価収益率(PER)は22倍
- この水準を超えたのは過去30年でドットコム・バブル期とコロナ禍のハイテク急騰期だけ
- 「株価が実力に対して高すぎるのでは」という警戒感が強まっています
👉 株価の割高感は投資家心理を冷やし、売り圧力につながりやすい状況です。
通商・関税問題の不透明感
- 連邦高裁がトランプ関税の大半を違法と判断
- 10月14日までは現行関税を維持し、最高裁判断を待つ展開
- 投資家は関税政策の先行き不透明感を警戒し、VIX(恐怖指数)が上昇しました
👉 通商問題の先行き不透明感はリスク回避姿勢を強め、株式市場の重荷となっています。
今後の見通し
9月相場と長期的な見方
- 9月は季節的に相場が荒れやすい時期
- 経済指標の悪化や通商問題が続けば、株価が揺さぶられる可能性があります
- 一方でUBSは以下を理由に下げ局面は買いのチャンスと指摘しています:
- 企業収益の拡大
- 利下げ観測
- AIなどの長期成長テーマ
👉 UBSはS&P500が2026年6月までに6,800へ上昇する可能性を示しています。
- 米株式はハイテク株中心に下落、特にエヌビディアが4日続落しました
- 株価の割高感と通商・関税問題の不透明感が投資家心理を冷やしています
- 9月は波乱含みですが、企業収益拡大・利下げ観測・AIなど長期成長テーマが下支え要因です
- 短期的な下げは長期投資の仕込み場になる可能性があります
米国債市場
米国債利回りの動き(長期金利の上昇)
- 30年債利回り:4.96%(+3.5bp)
- 10年債利回り:4.26%(+3.5bp)
- 2年債利回り:3.64%(+2.3bp)
💡補足:bp(ベーシスポイント)は金利の最小単位。1bp=0.01%
👉 2日の米国債市場では、世界的な債券売りが米国にも波及し、短期債・長期債ともに価格が下落して利回りが上昇しました。特に30年債は一時5%に迫り、長期金利の高止まりが鮮明になりました。
FOMC利下げ観測と短期金利市場
- 9月FOMCで0.25%利下げ → 約90%の確率で織り込み済み
- 年末までに0.5%超の利下げ が見込まれています
👉 長期金利が上昇する一方で、短期金利市場は利下げを強く予想しており、長期と短期で逆方向の動きになっています。
今後の注目材料:雇用統計
- 発表日:9月5日(8月分雇用統計)
- 予想:非農業部門雇用者数 +7万5000人
- 予想:失業率 4.3%に上昇
👉 結果次第で、9月FOMCの利下げ観測がさらに強まる可能性があります。
市場関係者の声
長期金利とイールドカーブの見方
- 「30年債利回りが5%に迫っても、通過点にすぎない」
- 「インフレが高止まりの中で利下げが始まれば、短期金利は下がる一方で長期金利は下がらず、イールドカーブがスティープ化する」
👉 スティープ化とは、長期金利が短期金利より大きく上昇し、長短金利差が広がることを意味します。
世界的な債券市場への懸念
- 「米国だけでなく、世界的に債券市場は将来に懸念を示している」
- 「政策の方向性や景気減速の兆しが見えるまでは、市場は高いタームプレミアム(長期債を持つリスクに対する追加利回り)を要求し続ける」
- 「今週の雇用統計で景気減速の兆しが示されるかもしれない」
👉 投資家は長期債保有リスクを懸念し、より高い利回りを要求する動きが続いています。財政赤字やインフレが背景にあり、景気減速が確認されない限り利回り上昇圧力は続く可能性があります。
- 世界的な債券売りで米30年債利回りは一時5%に迫った
- 短期金利市場は9月利下げを90%織り込み、年末までに0.5%超の利下げを想定
- 雇用統計はFOMCの利下げ判断を左右する重要イベント
- インフレ高止まり+利下げでイールドカーブのスティープ化が懸念されている
- 財政赤字拡大と債券市場の不安が長期金利上昇圧力を強めている
為替市場
東京時間の動き
ドル円は148.40円まで上昇
- 東京時間でドル円は一時**148.40円(+0.84%)**まで上昇し、8月1日以来の高値を更新しました。
- 背景には以下の2つの要因がありました:
- 日銀・氷見野副総裁の発言が想定よりタカ派(利上げ姿勢)でなかったこと
- 自民党・森山幹事長の辞任で、財政規律派がいなくなり財政拡張への期待が広がったこと
👉 投資家は「日銀は急いで利上げしない」と判断し、円売り・ドル買いが強まりました。
市場関係者の声(東京時間)
- 「氷見野副総裁が早期利上げを示さなかったことで円売り安心感が出た」
- 「石破政権をめぐる不透明感も円安の要因になった」
- 「政治リスクが円の重しとなり、投機筋が円売りを積み増す可能性がある」
👉 東京時間は金融政策と政治要因が重なり、円売り圧力が強まったという見方が広がりました。
ニューヨーク時間の動き
ドルが主要通貨に対して上昇
- ニューヨーク時間ではドルが主要通貨に対して上昇しました。
- 特に円とポンドが下落した理由は:
- 日本や英国の財政悪化懸念
- フランスの政治不安
👉 政治と財政の不安が複合的に作用し、ドルを下支えしました。結果として、ドル指数が支えられ、ドル円は148.94円まで上昇しました。
米経済指標の影響
製造業指標が利下げ観測を強める
- 8月の米製造業活動は6カ月連続で縮小しました。
- 生産が落ち込み、関税引き上げの影響で回復できていないことが示されました。
👉 弱い経済指標により「9月の0.25%利下げ観測が裏付けられた」との見方が強まりました。さらに、8月雇用統計次第では0.5%利下げの可能性まで意識され始めています。
- 東京時間:日銀発言がタカ派的でなかった → 円売り・ドル買い → ドル円148.40円へ
- ニューヨーク時間:日本の政局不安・財政懸念、欧州リスク重なり → ドル円148.94円へ
- 米経済指標:製造業の弱さで9月利下げ観測が強まり → 今後は8月雇用統計がカギ
金相場
金価格の動き
史上最高値を更新
- 金のスポット価格は一時1オンス=3,540.04ドルまで上昇し、過去最高値を更新しました。
- 5営業日連続で上昇し、年初来の上昇率は30%超と主要商品の中でも際立っています。
👉 金は安全資産としての需要が高まり、価格の上昇が加速しています。
上昇の背景
経済指標の弱さ
- 今週発表予定の8月米雇用統計は低調な結果が予想されています。
- 結果次第で、利下げの正当性がさらに強まる可能性があります。
👉 弱い経済指標は「利下げ観測の追い風」となり、金の上昇をサポートします。
安全資産としての需要
- 米関税政策の不透明さやFRB人事をめぐる不確実性
- 世界的な地政学リスク(戦争・政治不安)
👉 投資家はリスク回避のため金を買う傾向を強めています。
その他の不確実要因
FRB人事問題
トランプ大統領がクックFRB理事を解任できるかどうかが司法判断の焦点です。
👉合法ならハト派人事が進み、利下げ圧力が一段と強まる可能性があります。
関税問題
連邦高裁が「トランプ関税の大半は違法」と判断しました。
👉今後の経済への影響が不透明で、投資家心理の不安要因となっています。
- 金価格は過去最高値を更新し、1オンス=3,540.04ドルに到達しました。
- 上昇の背景には米利下げ観測の強まり・経済指標の弱さ・政治的不確実性があります。
- 金は利息を生まないが安全資産として買われやすい特徴があります。
- 終値で3,500ドルを超えるかどうかが次の注目点です。
- 利下げと地政学リスクが続く限り、金相場の上昇基調は維持される可能性があります。
今回は、2025年9月2日の経済情報(株式・債券・為替・金)をわかりやすくポイント解説しました。今後も重要な発言や経済指標などを分かりやすく整理してお伝えしていきます。
出典:
ブルームバーグ:【米国市況】国債と株下落、30年債利回り5%接近-政局警戒で円下落
ロイター:NY市場サマリー(2日)株下落、利回り上昇・円とポンドに売り
