経済・金融ニュースは毎日あふれていますが、「結局どの情報が重要で、なにが相場が動かしているのか」を短時間で把握するのはなかなか大変です。
このブログでは、ブルームバーグやロイターなど信頼できる海外メディアを情報源に、日米を中心に要人発言や経済指標といった重要な経済ニュースをピックアップし、情報を読みやすく再構成してお届けしています。単なるニュースの要約にとどまらず、投資やトレードに活かせるポイントを意識しています。
例えばこんな方におすすめです:
・忙しくてニュースをじっくり読む時間がない方
・トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れたい方
・経済ニュースの見方を効率よく学びたい方
記事を読むことで、情報収集の手間を減らしつつ、投資判断や知識の整理に役立てることができますので、ぜひ日々の情報収集にご活用ください。
今回は、2025年10月3日の経済情報(株式・債券・為替・金)についてポイント解説します。
米国株式市場
- ダウ平均とS&P500が最高値更新、ナスダックは反落
- 上昇要因:FRB利下げ期待、AI関連の大型買収や提携報道
- 下落要因:個別企業の悪材料、地政学リスク、政府閉鎖懸念
- 市場全体は利下げ期待で支えられる一方、過熱感とリスク要因で不安定さが残る
米国株式市場の動向
- S&P500:6715.79(+0.01%)
- ダウ平均:46758.28(+0.51%)
- ナスダック:22780.51(-0.28%)
この日の米国株式市場はダウ平均とS&P500が過去最高値を更新しました。
一方で、ハイテク株の中心であるナスダックは小幅に下落し、強気ムードが一服しました。
上昇要因
利下げ期待の高まり
この日発表された9月の米ISM製造業景況指数でサービス業や雇用の弱さが示されました。
これによりFRBによる追加利下げ期待が市場で強まり、株価を押し上げました。
9月の米ISM非製造業景況指数については別記事に整理しましたので、こちらもチェックしてみてください 👉2025年9月米ISM非製造業景況指数のポイント解説
M&A・提携ニュースによる安心感
- ブラックロック傘下のGIPがデータセンター大手の買収協議を発表
- 日立とOpenAI、富士通とNVIDIAがAIインフラ・基盤で提携を発表
AI分野への資金流入が続き、「AI投資はまだ成長過程にある」という楽観的な見方が市場を支えました。
👉 米国の利下げ期待の強まりと、AI関連を中心としたM&A・提携ニュースが投資家心理を押し上げ、市場を支える要因となりました。
下落要因
政治・地政学リスクの高まり
政府閉鎖が3日目に突入したことに加え、トランプ大統領がガザ和平案を巡って強硬姿勢を示しました。
ハマスが合意を拒否した場合、イスラエルによる壊滅行動を「全面的に支持」と警告。投資家のリスク回避心理が高まりました。
個別企業の悪材料
- アプライド・マテリアルズ:米政府の輸出制限拡大により、2026年度売上高が約6億ドル減少見通しと発表
- パランティア・テクノロジーズ:戦場通信システムに「深刻な欠陥」と報じられ株価急落(否定したが信頼性への懸念拡大)
👉 政府閉鎖・地政学リスク・主要企業の悪材料が重なり、投資家心理を冷やす要因となりました。
米国株式市場の全体総括
この日の米国株式市場は、ダウとS&P500が最高値更新する一方で、ナスダックが下落するなど、強弱入り混じる展開となりました。
FRBによる利下げ観測の強まりが株式全体を下支えする一方、個別企業の悪材料、さらに中東情勢や政府閉鎖問題といったリスク要因が重なり、特にハイテク株には調整売りが入りました。
株価は堅調さを維持しているものの、リスク要因がくすぶっており、相場は一方向に進みにくい状況です。
米国債市場
- 米国債利回りは上昇、特に短期の上げ幅が大きい
- 政府閉鎖リスクや経済指標の発表遅延で市場が慎重姿勢に
- FRB高官の慎重発言が利下げ期待を抑制し、金利上昇を後押し
- 市場は「利下げ観測」と「政治リスク」が交錯する不安定な状態
米国債市場の動向
- 米30年債利回り:4.71%(+0.48%)
- 米10年債利回り:4.12%(+0.85%)
- 米2年債利回り:3.57%(+0.93%)
この日の米国債市場では、長期・短期を問わず利回りが上昇し、国債価格は下落しました。
ただし週間ベースでは利回りは1カ月ぶりに大幅低下しており、この日は短期的な反発色が強い動きでした。
利回り上昇要因
政府閉鎖の影響による不透明感
政府閉鎖の長期化が警戒され、経済や財政に対するリスクが意識されました。
そのため、安全資産としての国債需要が一時的に後退し、利回りが押し上げられました。
FRB高官の慎重発言
シカゴ連銀グールズビー総裁、ダラス連銀ローガン総裁が「利下げに慎重」と発言。
利下げ観測一辺倒の見方にブレーキがかかり、金利上昇圧力が強まりました。
👉 政府閉鎖への懸念とFRB高官の慎重発言が重なり、米国債利回りを押し上げる要因となりました。
米国債市場の全体総括
この日の米国債市場は、前週までの利回り低下の流れから一転し、この日は利回りが上昇しました。
背景には、政府閉鎖の長期化リスクやFRB当局者の慎重な発言があり、市場が「利下げが必ずしも急がれないかもしれない」と受け止めたことが大きいです。
今後は政府閉鎖の長期化と、それがデータ不足を通じてFOMCの利下げ判断にどう影響するかが最大の焦点となります。
為替市場(ドル円相場)
- ドル円終値は147.48(+0.15%)で取引終了
- 東京市場:日銀の慎重姿勢を受けて円売りが優勢
- ニューヨーク市場:政府閉鎖による不透明感やISM非製造業指数の低下でドル指数下落
- 結果、ドル円は円安圧力とドル安圧力が拮抗し、方向感は限定的に
為替市場(ドル円相場)の動向
- ドル円終値:147.48(+0.15%)
この日のドル円相場は、147円台で上下する展開でしたが、終値は147.48(+0.15%)となりました。
東京市場では日銀の植田総裁が会見で追加利上げに慎重な姿勢を示したと受け止められ、円売りが優勢となりました。
ニューヨーク市場ではドルが下落し、一時147円近くまで下落する場面もありましたが、そのあと持ち直して終えました。
東京為替市場の動向
東京市場では、日銀の植田総裁が利上げに積極的でない姿勢と受け止められ、円売りが優勢に。
ドル円は147円台後半まで上昇しました。
金利見通しを示すOIS市場では、10月利上げ確率が5割台半ばに低下しました。
これは市場が「利上げの可能性がやや後退した」と判断したことを意味します。
ただし「10月に利上げの可能性が残る」との見方も市場にあり、円売り一辺倒ではありませんでした。
ニューヨーク為替市場の動向
ニューヨーク市場では、ドル指数が小幅に下落しました。
背景には以下の要因がありました。
- 米政府機関の閉鎖による景気先行きへの不透明感
- 9月のISM非製造業総合指数が50.0に低下し、景気の減速感が鮮明に
一時はドル円が147円ちょうど付近まで下落しましたが、その後切り返して147円台半ばで取引を終えました。
市場関係者の間では「ドル円の上値は重いが、大きく円高が進む雰囲気でもない」という見方が出ています。
為替市場(ドル円相場)の全体総括
この日のドル円相場は、東京市場で日銀のハト派的スタンスを背景に円安が進んだ一方、ニューヨーク市場では米政府閉鎖による経済不透明感やISM非製造業指数の低下を背景にドルの上値を抑える展開となりました。
結果として、円安要因とドル安要因がせめぎ合い、147円台半ばで方向感に乏しい動きにとどまりました。
ニューヨーク金市場
- 金スポット価格:1オンス=3887.40ドル(+0.8%)
- 政府閉鎖の長期化懸念 → 安全資産として金に買い
- FRBの利下げ期待強まり → 金利低下が金の支援材料に
- ドル下落も金価格の追い風
- 過熱感も強く、短期的な調整リスクあり
ニューヨーク金市場の動向
- 金スポット価格:1オンス=3887.40ドル(+0.8%)
この日の金スポット価格は、1オンス=3887.40ドル(+0.8%)と反発しました。
これで金価格は7週連続の上昇となり、上昇基調が続いています。
米政府機関の一部閉鎖によって、景気や金融政策への不透明感が高まり、安全資産である金に資金が流入しました。
上昇要因
米政府機関の閉鎖による不安感
経済統計の発表が相次いで延期され、米景気の現状をつかみにくくなっています。
そのため投資家の間で「リスクを避けよう」という動きが強まり、安全資産とされる金への買いが進みました。
利下げ期待の高まり
景気の鈍化や労働市場の軟化を示す指標を受けて、市場では「FRBが年内に追加利下げを実施する」との見方が強まっています。
金は利息がつかない資産ですが、金利が下がる局面では相対的に魅力が高まるため、金価格が上がりやすくなります。
👉 政府閉鎖による不透明感と利下げ期待の高まりが重なり、安全資産としての金需要が強まっています。
👉 ただし、短期的には買われ過ぎの状態も指摘されています。テクニカル指標では、金が過去1カ月間「買われすぎ」の水準で推移しており、今後は一時的な利益確定の売りが出る可能性もあります。
ニューヨーク金市場の全体総括
この日のニューヨーク金市場は、米政府閉鎖という政治リスクと、FRBによる利下げ期待が重なり、安全資産としての需要が高まる展開となりました。
ドルの下落も金相場を支える要因となり、金は再び最高値圏に近づいています。
一方で、短期間に急上昇したことによる過熱感もみられ、今後は調整局面に入るリスクもあります。
市場は引き続き、政府閉鎖の行方やFRBの政策動向をにらみながら、方向感を探る展開が続きそうです。
今回は、2025年10月3日の経済情報(株式・債券・為替・金)をついてポイント解説しました。今後も重要な発言や経済指標などを分かりやすく整理してお伝えしていきます。
出典:
ブルームバーグ:【日本市況】円が下落、日銀総裁ハト派発言-債券高、日経平均最高値
ブルームバーグ:【米国市況】テク株上昇一服、国債は下落-週間で円4カ月ぶり大幅高
ロイター:NY市場サマリー(3日)ドル下落、利回り小幅上昇 ダウ・S&P最高値

