要人発言・金融政策

2025年9月日銀金融政策決定会合のポイント解説

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経済・金融ニュースは毎日あふれていますが、「結局どの情報が重要で、なにが相場が動かしているのか」を短時間で把握するのはなかなか大変です。

このブログでは、ブルームバーグやロイターなど信頼できる海外メディアを情報源に、日米を中心に要人発言や経済指標といった重要な経済ニュースをピックアップし、情報を読みやすく再構成してお届けしています。単なるニュースの要約にとどまらず、投資やトレードに活かせるポイントを意識しています。

例えばこんな方におすすめです:
・忙しくてニュースをじっくり読む時間がない方
・トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れたい方
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記事を読むことで、情報収集の手間を減らしつつ、投資判断や知識の整理に役立てることができますので、ぜひ日々の情報収集にご活用ください。

今回は、2025年9月の日銀金融政策決定会合について分かりやすくポイント解説します。

2025年9月日銀金融政策決定会合のポイント解説

  • 日銀はETF・REITの売却を決定し、金融政策の正常化を進める姿勢を明確化
  • ETF売却は100年以上かかる規模で、市場への影響は限定的との見方が多い
  • 金利は5会合連続で据え置きだが、2人の委員が初めて利上げを主張
  • 10月会合での利上げ観測が50%超に上昇
  • 10月会合に向けて、経済指標・要人発言・政局などのイベントが注目材料

会合での主な決定内容:ETF売却開始と金利据え置き

日銀は9月18日・19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利は0.5%に据え置きとなりました。

また、保有している上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の売却を全員一致で決定しました。

これまで大規模金融緩和の一環として買い入れてきた資産の売却に初めて踏み出すことで、金融政策の「正常化」への一歩と位置づけられます。
💡金融緩和とは、中央銀行(日本では日銀)が金利を引き下げたり、お金の供給量を増やしたりして景気を刺激する政策のことです。


金利据え置きの背景と利上げ主張の動き

金利据え置きの背景

政策金利の据え置きはこれで5会合連続です。

日銀は、アメリカの高関税政策などの不確実性が経済や物価に与える影響を慎重に見極めたいとしています。

ただし、「最後までデータを見極める必要はない」と述べ、影響がある程度把握できれば早期の利上げもあり得るという含みを持たせました。

利上げ主張の動き

今回の会合では、2人の審議委員(高田創氏・田村直樹氏)が0.75%への利上げを主張しました。

  • 高田氏:2%の物価安定目標はほぼ達成されたと主張
  • 田村氏:物価上振れリスクを考えると中立金利に近づけるべきと主張

いずれの主張も反対多数で否決され、金利は据え置きとなりました。

しかし、この動きがタカ派的な印象を与え、市場では「年内の利上げ観測」が強まり、10月会合での利上げ確率が50%台に上昇しました。
💡タカ派的とは、インフレ抑制を重視し、金利を引き上げる方向の考え方のことです。


ETF売却の詳細:背景・規模・市場への影響

背景

日銀は2010年からETFの買い入れを始め、株価を押し上げて景気を刺激することで、長引くデフレからの脱却を目指してきました。

しかし、資産の規模が大きくなりすぎたことで、金融政策の正常化が課題となり、2024年3月には新規購入を停止。そして今回、保有資産の売却に踏み出すことになりました。

規模

  • 売却ペース:簿価ベースで年間3,300億円(時価で6,200億円)
  • 保有総額:簿価で約37兆円、時価で約70兆円(3月末時点)
    💡簿価ベース:購入時の価格で計算した資産額
    💡時価ベース:現在の市場価格で計算した資産額
  • 売却期間:単純計算で100年以上かかるペース

市場への影響

専門家の多くは非常に緩やかな売却ペースであり、「この規模であれば市場への影響は限定的」とみています。

ただし、売却開始が金融政策の正常化を象徴する動きとして受け止められたことで、将来の利上げ観測が高まるなど投資家心理に影響を与えました。


株式・為替・債券市場の反応

株式市場

日経平均株価は発表直後に一時800円以上の急落となり、大型ハイテク株を中心に売りが広がりました。

ただし、ETF売却額が小さく非常に緩やかな売却ペースであり、市場への影響は限定的との見方から、下げ幅は次第に縮小しました。

一部の専門家は、ETF売却の決定について「過熱気味だった日本株への良い冷や水になるが、上昇トレンドを崩すものではない」と指摘しています。

債券市場

日銀会合を受け、中長期債の利回りが上昇しました。

日銀会合で委員2人が金利据え置きに反対したことに反応し、将来の金利引き上げ観測が強まり、中長期金利に上昇圧力がかかったためです。

為替市場

ドル円は一時147円台前半まで円高が進みましたが、植田総裁が会見で早期利上げを確約しなかったため円買いは伸び悩みました。

市場では「10月会合で利上げがあるかはデータ次第」という見方が強く、持続的な円高は限定的とみられています。


10月会合に向けての今後の注目点

10月の会合に向けては、いくつかの重要なイベントがあります。

  • 10月1日:日銀短観(企業景況感調査)発表
  • 10月3日:植田総裁の大阪での講演・会見
  • 10月4日:自民党総裁選(新政権の経済政策に影響)
  • 10月6日:日銀支店長会議
  • 10月16日・20日:利上げを主張した田村委員・高田委員の講演

これらのデータや発言を受けて、市場では10月末の利上げ観測が強まるのか、それとも先送りされるのかが焦点となります。


今回は、2025年9月の日銀金融政策決定会合について分かりやすくポイント解説しました。今後も重要な発言や経済指標などを分かりやすく整理してお伝えしていきます。

出典:
ブルームバーグ:植田日銀総裁、関税の影響を全て見極める必要ない-早期利上げに含み
ブルームバーグ:植田日銀が政策正常化に意欲、ETF売却を突如決定-利上げ再開も視野
ブルームバーグ:日銀のETF売却、株式需給への影響は限定的との見方-市場関係者の声
ブルームバーグ:【日本市況】株式反落、日銀がETF売却決定-総裁会見受け円伸び悩む
ロイター:日銀、保有ETFの売却開始を決定 金利据え置きには2人が反対

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