経済・金融ニュースは毎日あふれていますが、「結局どの情報が重要で、なにが相場が動かしているのか」を短時間で把握するのはなかなか大変です。
このブログでは、ブルームバーグやロイターなど信頼できる海外メディアを情報源に、日米を中心に要人発言や経済指標といった重要な経済ニュースをピックアップし、情報を読みやすく再構成してお届けしています。単なるニュースの要約にとどまらず、投資やトレードに活かせるポイントを意識しています。
例えばこんな方におすすめです:
・忙しくてニュースをじっくり読む時間がない方
・トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れたい方
・経済ニュースの見方を効率よく学びたい方
記事を読むことで、情報収集の手間を減らしつつ、投資判断や知識の整理に役立てることができますので、ぜひ日々の情報収集にご活用ください。
今回は、2025年9月11日に発表された2025年8月米消費者物価指数(CPI)について分かりやすくポイント解説します。
2025年8月の米消費者物価指数(CPI):予想通りのコアCPI、総合は加速
- 総合CPIは前月比+0.4%と1月以来の大幅な伸び。住居費・航空運賃が押し上げ要因
- コアCPIは予想通りで安定しており、利下げ観測を阻む要因にはならず
- 財価格は関税・在庫要因で上昇、一方でサービス価格は分野により明暗が分かれる
- 楽観的な見方とインフレ定着を懸念する見方が併存し、FRBの判断は難しい局面に
総合CPI:1月以来の大幅な伸び
- 前月比:+0.4%(市場予想:+0.3%)
- 前年同月比:+2.9%(市場予想:+2.9%)
総合CPIの前月比は市場予想を上回り、1月以来の大きな伸びを記録しました。前年同月比は予想通りでしたが、前月の+2.7%から加速しており、物価上昇圧力の再燃が示唆される内容となりました。
この背景には、住居費や食料価格の上昇があります。特に住居費はサービス分野の最大カテゴリーであり、家賃やホテル宿泊費の上昇が物価全体を押し上げました。
コアCPI:基調的なインフレは予想通り
- 前月比:+0.3%(市場予想:+0.3%)
- 前年同月比:+3.1%(市場予想:+3.1%)
食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比、前年同月比ともに市場予想通りで前月と変わらない伸びでした。
基調的なインフレ率が安定したことで、FRBが16〜17日のFOMCで利下げを実施する可能性が高いとの見方が維持されました。インフレが予想以上に加速していない点は、利下げを阻む材料にならなかったといえます。
詳細項目の動き
財価格:関税の影響と在庫要因
8月は新車・中古車、衣料品、家電製品などが値上がりし、財価格の押し上げ要因となりました。
トランプ政権の関税政策により企業コストは上昇していますが、在庫積み上げ効果の一巡に伴い、価格上昇は今後加速するとの見方があります。
サービス価格:航空運賃が大幅上昇
サービス分野では航空運賃が約3年ぶりの大幅上昇となりました。
一方で、FRBが注目する住宅・エネルギーを除くサービス価格は伸びが減速し、医療ケアや娯楽、レンタカーの低下が影響しました。
市場関係者の見解:楽観派と悲観派で分かれる評価
楽観的な見方
- インフレが比較的落ち着きを見せる中、FRBは労働市場下支えに重点を移しやすい状況となった。年内3回の利下げシナリオが有力視される。
- インフレは2%を上回るが落ち着きを見せており、利回り曲線のスティープ化が景気減速リスクを和らげ、中小企業や消費活動への追い風になる。
悲観的な見方
- コアCPIは4年半にわたり2%目標を超えており、利下げはインフレ定着リスクを高める恐れがある。
- 雇用減速と物価上昇が同時進行する中で、利下げを急げばインフレが定着し、遅らせれば失業拡大を招く可能性があり、FRBは難しい判断を迫られている。
👉 FRBの利下げ判断をめぐり、市場は雇用下支えを評価する楽観派とインフレ定着リスクを警戒する悲観派に分かれ、政策運営の難しさが一層際立っています。
今回は2025年9月11日に発表された2025年8月米消費者物価指数(CPI)について分かりやすくポイント解説しました。今後も重要な発言や経済指標などを分かりやすく整理してお伝えしていきます。
出典:
ブルームバーグ:米コアCPI、予想通りの上昇-来週のFOMC控え利下げ期待変わらず
ブルームバーグ:【米CPI】利下げの門、最後のかんぬきが外された-市場関係者の見方
ロイター:米8月CPI2.9%に加速、1月以来の大幅な伸び 予想と一致

