経済・金融ニュースは毎日あふれていますが、「結局どの情報が重要で、なにが相場が動かしているのか」を短時間で把握するのはなかなか大変です。
このブログでは、ブルームバーグやロイターなど信頼できる海外メディアを情報源に、日米を中心に要人発言や経済指標といった重要な経済ニュースをピックアップし、情報を読みやすく再構成してお届けしています。単なるニュースの要約にとどまらず、投資やトレードに活かせるポイントを意識しています。
例えばこんな方におすすめです:
・忙しくてニュースをじっくり読む時間がない方
・トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れたい方
・経済ニュースの見方を効率よく学びたい方
記事を読むことで、情報収集の手間を減らしつつ、投資判断や知識の整理に役立てることができますので、ぜひ日々の情報収集にご活用ください。
今回は、2025年9月26日の経済情報(株式・債券・為替・原油・金)についてポイント解説します。
米国株式市場
- 米株式市場は4日ぶりに反発
- インフレ指標が予想通りで安心感、利下げシナリオが維持
- 個人消費の堅調さが企業利益への期待を下支え
- トランプ大統領の関税政策で一部セクター株が急伸
米国株式市場の動向
- S&P500:6643.70(+0.59%)
- ダウ平均:46247.29(+0.65%)
- ナスダック:22484.07(+0.44%)
この日の米国株式市場は4日ぶりに反発し、主要3指数すべてが上昇しました。
この日発表された米インフレ指標(PCE)が市場予想通りの結果だったことを受け、安心感が広がり買いが優勢となりました。これまでの3日続落からの押し目買いも入った形です。
上昇要因
インフレ指標が予想通りで安心感
8月のPCEコア価格指数は前年比+2.9%と予想に一致し、FRBの利下げシナリオが維持されるとの見方が強まりました。
市場は「想定外のインフレ加速がなかった」ことに安心し、株式に買いが入りました。
個人消費の堅調さ
PCE統計では個人消費が市場予想を上回り、企業利益を下支えするとの期待が広がりました。
消費者の支出が続くことで、景気後退懸念が和らぎました。
企業や特定セクターの株高
トランプ大統領が発表した大型トラック関税政策を受け、米トラックメーカーのパッカー株は5.2%上昇しました。
医薬品関税を受け、米製薬大手イーライリリーも1.4%上昇しました。
関税導入により米国内メーカーが恩恵を受けるとの見方が株価を押し上げました。
米国株式市場の全体総括
この日の米株式市場は、インフレ指標が予想通りであったことから、金融政策の引き締めリスクが後退し、安心感が広がりました。
さらに個人消費の堅調さが企業業績の下支え要因となり、3日続落後の押し目買いが強まりました。
加えて、トランプ大統領の関税政策による特定セクターへの追い風もあり、投資家心理は改善しました。
もっとも、10月には雇用統計や政府予算問題などの不透明要因が残っており、今後の株価動向はこれらのイベントに左右される可能性があります。
米国債市場
- 2年債利回りは低下:FRBの利下げ期待が続き、安全資産として買いが入った
- 10年債利回りは小幅上昇:個人消費の堅調さが景気底堅さを示し、利回り上昇圧力に
- 全体としてイールドカーブがフラット化し、景気見通しと金融政策期待の間で市場が揺れている状況
米国債市場の動向
- 米30年債利回り:4.74%(-0.06%)
- 米10年債利回り:4.17%(+0.04%)
- 米2年債利回り:3.64%(-0.45%)
この日の米国債市場では短期債が買われ(利回り下落)、長期債はやや売られ(利回り上昇)ました。
短期債の利回り下落要因
短期債が買われて利回りが下がったのは、FRBが年内に追加利下げを行うとの期待が続いたためです。
この日発表された米PCE(個人消費支出)物価指数が市場予想通りで、インフレが想定内に収まったことが安心感を与えました。
市場は「FRBは今後も段階的に利下げできる」と見て、短期債に資金が集まりました。
長期債の利回り上昇要因
一方、10年債利回りが小幅に上昇したのは、次の要因が重なったためです。
- 個人消費支出が堅調で、景気が底堅いことが示された
- FRBの追加利下げは見込まれているものの、利下げペースは急がないとの見方が広がった
景気が底堅い中では、長期金利は低下しにくくなります。
米国債市場の全体総括
この日の米国債市場は、短期と長期で方向感が分かれる動きとなりました。
短期債はFRBの年内利下げ見通しが維持されたことで買いが入り、利回りが低下しました。
一方で、10年債は堅調な消費指標を背景に景気が持ち直すとの見方が広がり、利回りがやや上昇しました。
これにより、短期金利は低下、長期金利はやや上昇するイールドカーブの動きが見られました。
投資家はFRBの利下げペースや景気の底堅さを見極めながらポジションを調整している状況です。
為替市場(ドル円相場)
- 東京市場:米経済指標の堅調さと長期金利上昇を受け、ドル円は150円に迫る上昇
- ニューヨーク市場:PCE統計が予想通りでインフレ懸念が和らぎ、ドルはやや反落
- 来週の米雇用統計や政府閉鎖リスクを前にポジション調整が進行
- ドル円は150円手前で上値の重さが意識され、イベント待ちの様子見ムード
為替市場(ドル円相場)の動向
- ドル円終値:149.51(-0.19%)
この日のドル円相場は、東京市場では一時150円に迫る上昇を見せましたが、ニューヨーク市場ではやや反落して149円台半ばで取引を終了しました。
米経済指標の堅調さや長期金利の上昇を背景にドル買いが先行したものの、来週の米雇用統計などのリスクイベントへの警戒感からドル高一服となりました。
東京為替市場の動向
東京市場では、前日の米GDP確報値の上方修正と新規失業保険申請件数の減少を受け、米経済の底堅さが意識されました。
米長期金利の上昇を受けてドル買いが入り、一時150円に迫る水準までドル高・円安が進行しました。
また、東京CPI(消費者物価指数)が予想を下回ったことで、円売りの流れも加わりました。
ニューヨーク為替市場の動向
ニューヨーク市場では、ドル指数がやや反落し、ドル円相場も149円台半ばに戻りました。
PCE物価指数が予想通りであり、インフレ再加速への警戒が和らいだことがドル売り要因となりました。
また、来週発表の米雇用統計を見極めたい投資家が多く、ポジション調整が進んだとみられます。
一部の市場関係者は、
- 「短期的な日米イベントリスク(米雇用統計や米政府閉鎖、自民党総裁選)が控える中で、ボラティリティ上昇の可能性に備えるべき」
- 「ドル円は一時的に下落リスクを織り込んでいない」
と指摘し、オプション市場ではヘッジ需要(リスク回避のために保険をかける動き)が強まっていると述べています。
為替市場(ドル円相場)の全体総括
この日のドル円相場は、東京市場で150円に迫るドル高・円安が進んだ後、ニューヨーク市場では149円台半ばにやや反落する展開となりました。
背景には、米経済指標の堅調さと長期金利の上昇によるドル買いがあった一方、PCE物価指数が予想通りでインフレ懸念が和らいだことや来週の米雇用統計や政府閉鎖リスクを前にした調整売りが重なりました。
全体としては、イベント前のポジション調整と節目150円手前での上値の重さが意識された1日でした。
ニューヨーク原油市場
- 原油先物(WTI)は1.1%上昇し65.72ドルで終了
- ロシア製油所の攻撃・輸出制限が供給不安を高め、買い材料に
- ドル安進行で割安感が強まり、海外投資家の買いが増加
- CTAの買い越し転換が上昇に拍車をかけた
- レンジ相場を抜け出し、今後の地政学リスクと景気動向が焦点
ニューヨーク原油市場の動向
- WTI先物11月限:1バレル=65.72ドル(+1.1%)
この日のニューヨーク原油先物(WTI)は、+1.1%上昇し、8月初旬以来のレンジ相場を上抜けする動きを見せました。
ウクライナ情勢やロシアの原油輸出に関する不透明感が、買いの材料となりました。
上昇要因
ロシア産原油の供給不安
ロシア南部の製油所がウクライナのドローン攻撃を受け、一部設備が停止しました。
ロシア政府はディーゼル燃料の輸出を年末まで一部禁止、ガソリン輸出制限も延長すると発表し、供給制限への懸念が強まりました。
供給懸念が強まると、将来の原油不足リスクが意識され、原油価格の上昇要因となります。
ドル安の影響
原油はドル建てで取引されるため、ドルが下落すると割安感が出て、買いが入りやすくなります。
CTA(商品投資顧問)の買い転換
アルゴリズム取引(ルールや数式に基づいてコンピュータが自動で売買する手法)を行うCTAが、原油先物のポジションをネットショート(売り越し)からネットロング(買い越し)に切り替え、上昇に拍車をかけました。
💡CTA(商品投資顧問)は、米国の金融規制当局の登録を受けた投資運用会社のことを指します。
ニューヨーク原油市場の全体総括
この日のニューヨーク原油市場は、地政学リスクによる供給不安とドル安による割安感が買いを誘発し、CTAの買い転換が加わることで相場が一段高となりました。
これまで続いていたレンジ相場を抜け出す動きが見られ、今後の供給リスクや景気動向が原油価格の方向性を決める重要な要素となりそうです。
ニューヨーク金相場
- 金価格は1オンス=3782.70ドル(+0.9%)に上昇
- FRBの年内2回の利下げ期待が強まる
- ドル安進行で割安感から金需要が増加
- 地政学リスクと政策不透明感で安全資産としての需要が拡大
- ETFへの資金流入が金価格の上昇を下支え
ニューヨーク金市場の動向
- 金スポット価格:1オンス=3782.70ドル(+0.9%)
この日の金スポット価格は、前日比+0.9%と続伸しました。
これで週間ベースでは6週連続の上昇となり、年初来では約44%高と、金相場は強い上昇トレンドを維持しています。
上昇要因
FRBの連続利下げ期待
8月の米個人消費支出(PCE)物価指数は市場予想通りで、FRBが年内にあと2回の利下げを行う余地があるとの見方が広がりました。
利下げは金利を生まない金にとって相対的に有利な環境を作ります。
ドル安による割安感
為替市場でドルが下落し、ドル建ての金は他通貨を使う投資家にとって割安となり、需要が増えました。
地政学的リスクと政策不透明感
トランプ米大統領が大型トラックや輸入医薬品に関税を課すと表明し、世界経済への不透明感が強まりました。
安全資産としての金の需要が高まりました。
ETFを通じた投資需要の増加
金を裏付けとするETFへの資金流入が続き、2022年以来の高水準に達しました。
大手金融機関も金価格の上昇基調が続くと予想しています。
ニューヨーク金市場の全体総括
この日のニューヨーク金市場は、FRBの追加利下げ期待、ドル安進行、地政学的リスクの高まりが重なり、投資家が安全資産としての金を買い増す動きが強まりました。
特にETFを通じた投資需要が金価格を押し上げる大きな要因となり、金相場は年初来高値を更新する展開となっています。
今回は、2025年9月26日の経済情報(株式・債券・為替・原油・金)をついてポイント解説しました。今後も重要な発言や経済指標などを分かりやすく整理してお伝えしていきます。
出典:
ブルームバーグ:【日本市況】日経平均反落、米株安や関税懸念-債券は長期債中心下落
ブルームバーグ:【米国市況】株反発、FRB利下げ維持との安心感-円は一時149円台前半
ロイター:NY市場サマリー(26日) ドル2週連続高、株反発 長期債利回り上昇

