経済・金融ニュースは毎日あふれていますが、「結局どの情報が重要で、なにが相場が動かしているのか」を短時間で把握するのはなかなか大変です。
このブログでは、ブルームバーグやロイターなど信頼できる海外メディアを情報源に、日米を中心に要人発言や経済指標といった重要な経済ニュースをピックアップし、情報を読みやすく再構成してお届けしています。単なるニュースの要約にとどまらず、投資やトレードに活かせるポイントを意識しています。
例えばこんな方におすすめです:
・忙しくてニュースをじっくり読む時間がない方
・トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れたい方
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記事を読むことで、情報収集の手間を減らしつつ、投資判断や知識の整理に役立てることができますので、ぜひ日々の情報収集にご活用ください。
今回は、2025年9月米ISM非製造業景況指数について分かりやすくポイント解説します。
2025年9月米ISM非製造業景況指数のポイント解説
- ISM非製造業景況指数は50に低下し、サービス業の停滞を示唆
- 事業活動指数がコロナ禍以降で初めて縮小圏に
- 新規受注・雇用の両面で鈍化傾向
- 仕入れ価格は高止まりし、サービスインフレが依然根強い
- FRBは景気とインフレの板挟みとなり、今後の金融政策運営は難しい局面
ISM非製造業景況指数とは:米国のサービス業における景気の先行指標
米ISM非製造業景況指数は、米供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)が毎月発表する経済指標です。
サービス業(非製造業)の購買担当者にアンケートを実施し、「事業活動」「新規受注」「雇用」「仕入れ価格」「入荷遅延」などの動向を調査し、その回答を指数化して毎月公表しています。
この指数は、アメリカ経済の約7割を占めるサービス産業の景気動向を把握するうえで欠かせない重要なデータです。
- 50を上回る:サービス業の活動が拡大している
- 50を下回る:サービス業の活動が縮小している
購買担当者は企業の発注や取引の最前線にいるため、景気の変化をいち早く察知できる立場にあります。したがって、この指数は「サービス業の先行指標」として非常に注目されています。
米ISM非製造業景況指数の動向:9月は景気停滞を示す50に低下
- 9月の総合指数:50.0(予想:51.7、前月:52.0)
市場予想や前月を下回る結果となりました。拡大・縮小の境目である50に達したことから、サービス業の活動が停滞していることを示します。
主な指標の動向
- 事業活動指数:49.9(前月:55.0、2020年5月以来初の縮小圏入り)
- 雇用指数:47.2(前月:46.5、4カ月連続で縮小圏)
- 新規受注指数:50.4(前月:56.0、大幅低下で拡大圏ギリギリ)
- 仕入れ価格指数:69.4(前月:69.2、10カ月連続で60超)
米サービス業は「拡大から停滞」へシフトしており、特に事業活動と新規受注の弱さが目立つ展開でした。
縮小要因:需要減速と人材確保の難しさ
事業活動の停滞
事業活動指数は前月から大幅低下し、コロナ以降で初の縮小圏入りとなりました。
企業が新規案件や取引を減らしていることを意味し、全体的にサービス需要が伸び悩んでいると考えられます。
新規需要の減速
新規受注が急減し、企業の受注残も依然として縮小圏にあります。
前月に一時的に回復した反動もあり、需要そのものが弱含んでいる状況です。
輸出関連の受注も低迷し、外需の減速がサービス業全体に波及しています。
労働市場の軟化
雇用指数は依然として50を下回り、企業の採用意欲が低下しています。
エコノミストは、AI(人工知能)の普及や、関税問題などの不確実性が企業の採用意欲を抑える要因と指摘しています。
ISMの委員長は、「採用活動の先送り」や「適切な人材の確保難」が続いており、雇用は引き続き縮小圏にあると述べています。
価格の高止まり
仕入れ価格指数は高水準を維持しており、サービス価格のインフレが根強いことを示しています。
景気の減速と価格の上昇が同時に進行していることを示す点が今回の特徴で、FRBによる利下げ判断を難しくする要因となっています。
ISM非製造業景況指数の全体総括
今回の結果は、米サービス業の勢いが明確に鈍化し、景気の減速が広がっていることを示しました。
事業活動や新規受注、雇用が縮小する一方で、価格は高止まりしており、景気悪化とインフレ圧力が同時に存在するスタグフレーション的状況が懸念されます。
FRBにとっては、利下げを急げばインフレ再燃のリスク、金利を高止まりさせれば景気後退のリスクという難しい判断を迫られる局面です。
ISMの発表文では、「サービス業界からの報告は小幅または弱い成長を示すものが多く、サプライヤー納入の遅延や人材確保の困難が続いている」と指摘されています。
このように、需要と供給の両面でバランスが悪化しており、経済全体の成長に制約がかかっていることがうかがえます。
今回は、2025年9月米ISM非製造業景況指数について分かりやすくポイント解説しました。今後も重要な発言や経済指標などを分かりやすく整理してお伝えしていきます。
出典:
ブルームバーグ:米ISM非製造業指数、9月は50に低下-事業活動コロナ以来の縮小圏
ロイター:米ISM非製造業指数、9月50に低下 価格高止まりでFRB難しい舵取り

